施設で働く介護職必見!ターミナルケアでの役割や注意点を徹底解説

介護施設で働いていると、利用者様が最後の時を迎える場に立ち会うことも少なくありません。

  • ターミナルケア(=終末期医療)ってどんなことをするの?
  • ターミナルケアと通常のケアって違いがあるの?

ターミナルケアについてさまざまな疑問を抱える方も多いのではないでしょうか?

結論を言うと、通常のケアとターミナルケアでは行うケアに違いがあります。また、ターミナルケアで介護職が行う役割は大きく分けて3つあります。

この記事を読めば、終末期に利用者やその家族へ質の高いケアを提供することができます。利用者が人生最後を迎える際に、あなたに担当してもらえて良かったと思ってもらえる介護職になりましょう!

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ターミナルケアについて

ターミナルケア(=終末期医療)とは余命がわずかとなった方に対して、身体的・精神的苦痛を緩和することを目指したケアのことです。無理に長く生きるよりも、生活の質(QOL)の向上を目的としています。

通常のケアからターミナルケアへの移行は、以下の場合が当てはまります。

  • 回復の見込みがなく積極的な治療が行えなくなったとき 
  • 老衰や認知症の場合、寝たきりで食事が取れなくなったとき

下の画像で言うと、治療が困難であり余命の診断を受けたときが移行のタイミングです。

通常のケアからターミナルケアへ移行する上で重要なのは、利用者やその家族に医療方針を決めてもらうことです。

ターミナルケアに際して家族に決めてもらう方針には以下のような内容があります。

  • 心肺蘇生などの延命治療はどこまで行うのか?
  • 介護施設で急変した際に、病院への救急搬送は行うのか?
  • 食事が食べれなくなった時には、点滴や経管栄養は行うのか?
  • 自分で呼吸することが難しくなった時に、人工呼吸器などの処置は行うのか?

これらの方針を本人が意思決定できるのであれば、本人に考えてもらいます。もし本人による意思決定が難しい場合は、家族で話し合って頂き、どこまでの治療を希望するかを決めてもらうのが一般的です。

介護施設のターミナルケアでは、利用者の意志を尊重し、できるだけ苦痛を取り除いてあげることで、生活の質を向上させることを目指します。穏やかな最後を迎えられるように利用者に寄り添ってあげることが大切であり、通常のケアとは対応が違うということを理解しておく必要があります。

ターミナルケアでの介護職の役割

ターミナルケアでの介護職の役割は大きく分けて3つあります。

  • 身体面へのケア
  • 精神面へのケア
  • 家族へのケア

それぞれ解説していきたいと思います。

身体面へのケア

身体的な苦痛を緩和するためのケアを行います。

終末期になると、病気による身体の痛みや、酸素の状態が悪くなり呼吸が苦しくなる方も多くなるからです。

  • 身体の痛みが和らぐ姿勢を提案する
  • どのような痛みがあるのか、またどんな時に息苦しさを感じるのかなどの身体症状を聴取し、医師や看護師に情報提供を行う
  • 身体が自分で動かせない状態になると、褥瘡(床ずれ)ができる可能性が高くなるため、身体の向きを適宜調節する

体調の変化によって身体にどのような変化が起きているか把握し、苦痛を緩和するケアを提案・介護する役割があります。

精神面へのケア

利用者の精神面のケアを行います。

人生の最後を目の前にすると、恐怖や不安など通常の精神面とは違った感情を抱える方が多くなるからです。

  • 本人の気持ちや訴えを傾聴する
  • 身体をさする
  • 手を握る
  • スキンシップを行う
  • 利用者に寄り添う

利用者とコミュニケーションをとることで、少しでも不安を取り除く役割があります。

家族へのケア

利用者の家族に対する精神的な不安や身体的疲労をケアします。

日に日に利用者の全身状態が変化することで、死に対する不安や献身的な介護により身体的な疲労を抱える家族もいるからです。

  • 夜間も付き添いの希望がある場合には、簡易ベットや布団の用意をし、家族の身体も休まるように配慮する
  • 利用者に声かけや手を握ったりしてあげるように声掛けを行う(家族によっては遠慮して、利用者に触らないでいる場合もある)
  • 家族の希望を叶える支援を検討する(どこかに連れていきたい、誰かに会わせたいなど)

家族の希望や思いも傾聴し、精神的なフォローを行う役割があります。

ターミナルケアにおいて介護スタッフが注意するべきこと

施設でターミナルケアを行う場合は、チームとして情報を共有する必要があります。

介護スタッフでの情報共有が不十分だと、急変時の対応が遅れたり、本人や家族の望む医療やケアが行われないことがあるからです。

例えば、ケア内容の方針が決まっていないと以下のようなトラブルが起きる可能性があります。

  • 全身状態が悪化した際に、積極的な治療をせずに様子をみていたら、家族からどうして病院へ運んでくれなかったのかと言われた
  • 身体に負担がかかるため、お風呂に入らずベッド上で清拭を行っていたが、家族から調子が良いときはお風呂に入れて欲しいと言われた

ターミナルケアの捉え方は、介護スタッフによっても考え方がさまざまです。

トラブルを防止するためにも、定期的に本人や家族の意向を確認したうえで、医師や看護師、全介護職員で情報共有し、ケアを行う必要があるといえます。

まとめ

介護施設でのターミナルケアでは余命が僅かの方に対して、少しでもQOLを向上させる事を目的とします。そのために、身体的・精神的な苦痛を緩和してあげることが介護スタッフに求められます

担当する利用者やその家族によって終末期に希望されるケアは異なります。利用者や全介護職員のなかでターミナルケアでの対応に相違がないように、十分に情報共有し、利用者に寄り添ったケアを提供しましょう。

この記事で書いた内容を実践することで、質の高いターミナルケアを提供することができます。少しでも終末期の過ごし方をより良いものにできる支援を行っていきましょう。

シン

介護福祉士として特別養護老人ホームに10年勤務。介護職としてフルタイムで働きながら、介護に関する情報発信を行っている。介護現場ではひとりひとりの個性を大切にする個別ケア、利用者の1日の生活を可視化して最適なケアの検討を行う24時間シートの導入を推進。現場目線の実態に即した情報発信を得意としている。

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