介護施設のユニットリーダーは誰でもできる?業務内容や向いている人を徹底解説

ユニット型の介護施設で働いていると、次のステップとして考えられるのはユニットリーダーになることです。

日々ユニットリーダーとともに仕事をしていても、ユニットリーダーについて詳しく知らない方も多いと思います。そのような状態でユニットリーダーに指名されたら、不安になるのではないでしょうか。

この記事では、ユニットリーダーの業務内容や向いている人を詳しく解説します。不安なく、自信をもってユニットリーダーになれる一助となれば幸いです。

 

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介護施設のユニットリーダーと介護リーダーの違い

ユニット型の介護施設にはさまざまなリーダー職があります。「ユニットリーダー」と「介護リーダー」もそのうちの1つです。

同じリーダー職ですが主に管理する規模に違いがあります。それぞれ詳しく解説していきます。

ユニットリーダーは1つのユニットを管理する役職

ユニットリーダーとは、ユニット型の介護施設において、1ユニットごとに配置されるリーダーのことです。他のリーダー職と違い、常勤のユニットリーダーをユニットごとに配置するよう厚生省令で決められています。

(参考:厚生労働省 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82999406&dataType=0&pageNo=1

1ユニットの入居者は約10人で、ユニットごとに専任のスタッフがケアを行います。ユニットリーダーはこの専任のスタッフたちを管理する役職です。

介護リーダーは施設全体を管理する役職

介護リーダーが管理する対象は施設全体のスタッフです。ユニットリーダーも管理対象に含まれます。施設によっては介護主任と呼ばれています。

介護リーダーはユニットリーダーと違い、法令によって配置を義務付けられていません。人数の指定もないので、施設の実情に合わせて配置する人数を決められます。

ユニットリーダーと介護リーダーの違いについて表にまとめたので参考にしてください。

ユニットリーダー介護リーダー
配置する法的義務あるない
管理対象ユニットのスタッフ施設全体のスタッフ

ユニットリーダーは配置に法的な義務があるので一定数のポストがあり、管理する範囲は自分の所属する小規模のユニットだけに限定されているのが特徴です。

 

介護施設のユニットリーダーの業務内容

ユニットリーダーの業務は以下の2種類に分けられます。

  • 入居者の介護
  • ユニット運営

ユニットリーダーがお手本となるような質の高いケアをしていることは、一緒に働いているとわかると思います。一方で、ユニット運営に関する業務はユニットリーダーだけが担っているため、わからないことも多いでしょう。

ユニットリーダーが運営のために行っている業務は多岐にわたります。それぞれの業務について紹介していきます。

ユニットスタッフのシフト作成・調整

ユニットリーダーは、日頃の介助がうまく回るようにユニットスタッフのシフトを作成します。

  • 子供がいるのでできれば日勤中心で働きたい
  • たくさん稼ぎたいので夜勤が多くてもいい
  • 高齢なので負担の少ない業務をしたい
  • 腰痛があるので入浴介助は避けたい

上記のようなスタッフの希望にできるだけ配慮しながらシフトを組んでいきます。シフトが完成しても、途中でシフトを調整せねばならないときもあります。それは不測の事態が起こった場合です。

以下は不測の事態の例です。

  • 急なけがや病気で欠員が出た
  • 感染症が流行し、職員が次々と体調不良になった
  • 子供が熱を出し、家で看病しないといけなくなった

特に欠員が重なった場合、自分のユニットの職員だけでは対応しきれないこともあります。他ユニットや他部署に協力を仰ぎ、応援に来てもらうよう手配します。

ユニットスタッフの育成

ユニットリーダーにとって、ユニットスタッフの育成は重要な業務です。

新人スタッフには介護の基礎や施設の理念などを教え、即戦力として働けるよう指導していきます。教育係をつける場合は、教育係へのフィードバックもしっかりと行います。

中堅職員やベテラン職員には積極的に仕事を振り、スタッフ全員が成長できる環境を整えることも大切です。

ユニット内の入居者のケア方法の見直し

入居者にとって適切なケアができるよう、ユニットリーダーは適宜ケア方法を見直しています。

入居者の状態は常に一定ではありません。

  • 認知症が進行してきた
  • 嚥下機能が落ちてきた
  • 歩行が難しくなってきた

上記のようなさまざまな変化に合わせてケア方法を考えます。見直しが1人ではできないなら、看護師やケアマネジャー、リハビリの専門職員にも相談します。

ケア方法を見直した結果、今の配置ではケアの提供が難しくなることもあります。ケア方法に合わせて、職員配置を調整するのもユニットリーダーの役目です。

ユニット会議の開催

ユニット会議はスタッフ同士で意見交換する貴重な場です。開催頻度は月に1回が多いです。

以下は議題の例です。

  • リーダー会議や主任会議の申し送り
  • 各委員会の報告
  • 入居者のケア方法の見直し
  • ユニット内で発生している問題
  • 新人教育の進捗確認

入居者へのケアが滞ってしまうので、ユニット会議にまとまった時間はとれません。会議がスムーズに進むよう、議題を事前に知らせておくなど工夫が必要です。

司会者や議事録作成者は誰がやるか決まりはありません。スタッフにとって良い経験となるので任せるのもよいでしょう。

ユニット内の入居者の家族への対応

家族への対応もユニットリーダーが行うことが多いです。特に事故や受診、看取りなどの難しい対応はユニットリーダーが率先して行います。

スタッフが対応する場合は、内容を記録に残してもらうよう徹底します。記録があると、苦情に発展しても内容を把握してユニットリーダーが対応できます。スタッフに対応を任せる場合でも、最終的な責任はユニットリーダーにあると考えると良いでしょう。

リーダー会議への参加

ユニットリーダーが集まり意見交換する場としてリーダー会議は開催されます。以下は議題の例です。

  • 自分のユニット内の課題を共有し、解決策を模索する
  • 対応が難しい入居者や家族について話し合う
  • 上層部で決まったことを申し送る

リーダー会議に参加すると他のリーダーや介護主任の意見が聞けるので、1人で悩んでいたことが解決するきっかけになります。会議の場で施設の理念を改めて共有することで、施設全体の足並みもそろえられます。

介護施設のユニットリーダーになるための必須条件

介護施設でユニットリーダーになるためには、以下の3種類の介護資格のどれかを保有していることが必須条件です。

  • 介護福祉士
  • 介護実務者研修
  • 介護初任者研修

ユニットリーダーをこれから目指すならば、介護福祉士は取得しておきたいところです。

介護福祉士は厚生労働省により以下のように説明されています。

専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であって、医師の指示の下に行われるもの(厚生労働省令で定めるものに限る。)を含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする者をいう。

(出典:厚生労働省 介護福祉士の概要についてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-kaigo-fukushi1/shakai-kaigo-fukushi4.html

つまり、介護福祉士を取得した時点で、指導者になる素質を持っていると認められるのです。

また、ユニットリーダーになるためには実務経験も重要視されます。厚生労働省の資料には、ユニットリーダーの経験年数は「3年以上」という記述もあります。

(出典:厚生労働省 職務要件https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/jigyounai_311_img1.pdf

ユニットリーダーを目指す場合は介護資格と実務経験が必要になるので、覚えておくと良いでしょう。

なお、介護福祉士の資格取得に関しては、こちらの記事を参考にしてみてください。

https://kaigosin.com/kaigoshikaku-kaigofukushishi/

介護施設のユニットリーダーに向いているのはこんな人

ユニットリーダーは質の高いケアができるだけではなれません。上司がユニットリーダーを選ぶとき、ユニットリーダーに向いている人間性があるか見極めています。

ユニットリーダーに向いている人物像は以下の通りです。

  • 人と関わるのが好きな人
  • マルチタスクが得意な人
  • 冷静に物事を判断できる人
  • 向上心がある人

それぞれ詳しく解説していきます。

人と関わるのが好きな人

ユニットリーダーは関わる人が多いので、人と関わるのが好きな人に向いています。

関わる人が多いということは、相手との関係性によって伝え方やふるまい方を考える必要があります。多様なコミュニケーションが苦でないなら、ユニットリーダーになってもストレスが少ないでしょう。

マルチタスクが得意な人

マルチタスクが得意な人はユニットリーダーに向いています。

ユニットリーダーの業務はとても多く、勤務時間内に効率よくこなすことが求められます。優先順位の高い業務をこなし、空いた時間に他の業務もこなせる器用さが必要です。

冷静に物事を判断できる人

ユニットリーダーは冷静に物事を判断できる人が向いています。

ユニットの責任者として、ユニットリーダーは何度も判断する機会があります。情報を正確に分析し、どの案を採用するのか冷静に判断する能力は必須です。

向上心がある人

現状に満足せず、向上心を持って働ける人はユニットリーダーに向いています。

ユニットリーダーになってからも、コミュニケーションやリーダーシップなど、さまざまな学びが必要です。リーダーがポジティブに変化していくと、ユニット内の環境も良くなっていくでしょう。

ユニットリーダーの能力向上のために、都道府県や指定都市が主体となって開催されるユニットリーダー研修があります。受講するとユニットケアやユニットリーダーについて深く学べます。

ただし、ユニットリーダー研修は誰でも受けられるわけではありません。

受講者を選定するときに以下の2点が配慮されます。

  • 研修修了者が各施設に2名以上配置される
  • 施設のユニットが2つ以下の場合、研修修了者が1名以上配置される

(参考:厚生労働省 「ユニットケア施設管理者研修」及び「ユニットリーダー研修」の実施について〔介護保険法〕https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc2717&dataType=1&pageNo=1

受講したいときは受講対象者になるか上司に確認する必要があります。

まとめ

介護施設のユニットリーダーは、1つのユニットを管理するリーダーです。ユニットスタッフの手本となるような質の高いケアを提供し、ユニットの運営業務も担います。

介護施設のユニットリーダーについて、理解が深まるよう以下の4点を解説しました。

  • 介護リーダーとの違い
  • 業務内容
  • ユニットリーダーになるための必須条件
  • ユニットリーダーに向いている人

ユニットリーダーに指名されるということは、普段の仕事ぶりや人間性を高く評価されているということです。ぜひ自信をもってユニットリーダーになってください。

シン

介護福祉士として特別養護老人ホームに10年勤務。介護職としてフルタイムで働きながら、介護に関する情報発信を行っている。介護現場ではひとりひとりの個性を大切にする個別ケア、利用者の1日の生活を可視化して最適なケアの検討を行う24時間シートの導入を推進。現場目線の実態に即した情報発信を得意としている。

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