特別養護老人ホームの特徴と働くなら知っておきたいメリットとデメリットを解説

特別養護老人ホームという介護施設があるのは知っているけれど他の施設との違いや、どんな特徴があるのかはよくわからない方も多いと思います。また中には特別養護老人ホームで働いてみようと思っているけれど、ハードだという噂を聞いて就職を迷っている方もいらっしゃるでしょう。

  • 何がハードなのか?
  • どんなやりがいがあるのか?
  • 自分に向いているのか?

この記事では、特別養護老人ホームの特徴と実際に働く上でのメリットとデメリットを解説します。また特別養護老人ホームで働くのに向いている人のタイプもご紹介しますので働いてみようと考えている人は参考にしてください。

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特別養護老人ホームの特徴

特別養護老人ホームは略して「特養」と呼ばれる公的施設です。

入居型の施設のため、24時間体制のケアで夜勤ありのシフト制勤務です。長期間在籍する利用者も多く、終の棲家としての役割もあります。高齢者の人生最後のステージに寄り添いたい方にはおすすめの職場だといえるでしょう。

特養の特徴的な点は以下の通りです。

  • 運営母体が社会福祉法人
  • 介護度の高い利用者が多い

順番に解説しましょう。

運営母体が社会福祉法人

特養は社会福祉法人によって運営されています。社会福祉法人は国や自治体からの補助金を受けられる公的施設のため、民間の営利企業よりも安定した運営が行われています。そのため福利厚生が手厚く、給料も比較的高いのが特徴です。

介護度の高い利用者が多い

特養は比較的状態の悪い利用者が多いのが特徴です。特養は社会福祉の観点から要介護度の高い利用者や低所得者の保護と支援に重点を置いています。

例えば特養の入居条件は、原則65歳以上で原則要介護度3以上です。自宅での自立した生活ができない寝たきりの方や認知症の方などが多く利用しています。他の介護施設に比べると重度の利用者が多いと言えるでしょう。

利用者の介護度が高いため業務負担が大きくなりやすく、介護スタッフの手が足りないと感じられる傾向があります。

 

特別養護老人ホームで働くメリット

 

特別養護老人ホームで働くメリットややりがいはいくつかありますが、主なものとしては以下の3点があります。

    • 介護スキルと経験を習得できる
    • 運営が安定しているので福利厚生が手厚い
    • 介護施設の中では比較的給料が高い

順番に解説していきましょう。

 

介護スキルと経験を習得できる

特養では介護スキルと経験を習得することができます。なぜなら要介護度の高い利用者を日常的に介護するからです。

主な仕事は排泄介助、入浴介助などの身体介護で、他にも生活援助などあらゆる身の回りの支援を行います。利用者の状態によってケア方法も違うため柔軟な対応力を身につけることもできるでしょう。

経験豊富なスタッフの中で一緒に働くことで、効率良く業務をするコツや介護技術のスピードを身につけることもできます。特養で働くとどの介護現場に行っても通用する介護スキルを習得でき転職にも有利です。

また特養ではケアの向上を目的とした委員会の設置を義務付けられています。委員会の他にも定期的な研修も義務付けられているため、介護に関係のある深い知識を学ぶ機会があります。特養で得られる知識と経験は、将来スキルアップを目指す人にとっては大きなメリットになるでしょう。

運営が安定しているので福利厚生が手厚い

特養は運営が安定しており福利厚生が手厚いというメリットがあります。なぜならば特養の運営母体は社会福祉法人で、国や自治体の補助金を受けているからです。

また特養は比較的低予算で利用できるため人気があり、退所者がでてもすぐに次の利用者を受け入れることから、安定した収益を得ることができます。

こうした理由から特養では各種保険や家族手当や住宅手当といった福利厚生が整っており、給料のアップにも繋がる大事なポイントです。

介護施設の中では比較的給料が高い

厚生労働省の調査からも特養のスタッフの給料は他の施設のスタッフと比べて平均的に高い傾向にあります。

施設平均給料(常勤)
特別養護老人ホーム345,590円
介護老人保健施設338,390円
介護療養型医療施設287,070円

(出典:「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 厚生労働省老健局老人保健課」)

特養は24時間体制のケアを行っているため夜勤があります。夜勤を行えば夜勤手当により収入アップが可能です。他にも資格手当や福利厚生の手当も出るので結果として高めの給料になります。もちろんその分仕事内容はハードですが、給料が高いのは重視されるメリットです。

 

特別養護老人ホームで働くデメリット

特養の勤務は重度の利用者を相手にする体力勝負です。比較的軽度の利用者を相手にするデイサービスや有料老人ホームと比べると大変だと感じる人もいらっしゃいます。働き始めてから「こんなはずじゃなかった」と思うことがなるべくないように、どのようなデメリットがあるのかを知っておきましょう。

体力的な負担がある

特養での仕事は主に身体介護です。一日に何度も繰り返し介護度の高い利用者のケアを行うので、体力的な負担が大きくなります。とくにベッドから車いすへの移乗介助や、浴室で長時間ケアを行う入浴介助などは、事故に注意しながら利用者の身体全体を支える重労働です。また、夜間通して勤務を行う夜勤では、慣れないうちは生活のリズムの乱れに負担を感じることもあるでしょう。

最近ではボディメカニクスを利用した介護技術が注目を集めています。てこの原理や重力の利用により、力に頼らないケアが可能です。技術の活用により最小限の力で介護すれば、体力的な負担も軽減できます。また施設によっては夜勤時に仮眠をとれるところもあるので、面接の際に聞いてみるのもいいでしょう。

看取りがあり精神的負担がある

特養は終身利用が可能な施設のため、最期の時を特養で迎える利用者も少なくありません。

誰しも毎日のように会っていた人とのお別れは悲しく辛い気持ちになります。悲しいお別れが続くと精神的に負担に感じることもあると思います。

特養における「看取り」とは本人や家族が希望する「その人らしい最期」を迎えられるように見守ることです。延命治療などはせず身体的、精神的苦痛を緩和するケアを行います。本人が自分らしくいられるよう整った環境の中で最期まで過ごせるのは、特養だからこそできるケアと言えるでしょう。

 

特別養護老人ホームで働くのに向いている人

では実際どんな人が特養で働くのに向いているのでしょうか。

介護職全般に言えることですが

  • 人と関わるのが好き
  • 相手の気持ちを思いやれる
  • 視野が広い
  • 新しい知識を得ることに熱心

上記のような方は、介護の仕事をするのに向いている特性を持っています。

さらに今回は特に特養で働くのに向いている人をご紹介します。必ずしも全ての素質を持っている必要はありません。ケースバイケースのところもありますので難しく考えすぎずに参考にしてください。

体力に自信がある人

特養で働くのに向いている人は健康で体力に自信のある人です。なぜならば体力的負担のある身体介護も多いからです。また夜勤もあるため健康で元気にバリバリ働きたいという方におすすめです。

体力的にいきなりフルタイムで働くのは少し不安があるという方は、パートタイム勤務から始めてみるなど自分にできそうな働き方や職場を選ぶのも良いでしょう。

メンタル面が強い人

特養の介護は利用者の命と向き合う仕事なので、精神面ではある程度のタフさが必要です。やりがいはたくさんありますが、時には理不尽な思いをしたり利用者からのやり場のない負の感情を受け止めたりすることもあるでしょう。

また看取りケアでは死と向き合わなければいけません。心も体もストレスを受けるのは仕方のないことです。

そんな中でも、前向きに物事を考えられる方、ストレスの発散が上手にできる方、オンオフの切り替えが上手にできる方など、メンタル面が強い方にはおすすめの職場です。

土日祝の勤務ができる

特養は24時間365日体制で勤務しているため、土日祝日でも仕事があります。そのため土日祝日に働くことに抵抗のない方、また働ける環境にある方には向いている職場と言えます。

バリバリ働いた分給料もアップするので、そういった面を張り合いに頑張れる方にもおすすめです。

 

まとめ

特別養護老人ホームの特徴やメリットとデメリット、また特養で働くのに向いている人についても紹介しました。

特別養護老人ホームは運営母体が安定しているため、安心して働くことのできる施設です。要介護度の高い利用者を日々ケアすることで、自然と介護スキルもアップしていきます。また介護に関する知識を身につけることもできる環境です。給料の面でも平均的に高いため、他の介護職からの転職を考える方にもおすすめです。

利用者のために何かしてあげたいという気持ちを大切にして、自分に合った職場選びの参考にしてください。

 

シン

介護福祉士として特別養護老人ホームに10年勤務。介護職としてフルタイムで働きながら、介護に関する情報発信を行っている。介護現場ではひとりひとりの個性を大切にする個別ケア、利用者の1日の生活を可視化して最適なケアの検討を行う24時間シートの導入を推進。現場目線の実態に即した情報発信を得意としている。

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