介護医療院の特徴と働くなら知っておきたいメリットとデメリットを解説

介護医療院という施設があることは知っているけれど、実際どのような施設なのかわからない方は多いと思います。介護医療院は2018年に創設されたため、介護職の中でもまだよく知られていない施設です。

この記事では、下記について解説します。

  • どのような介護を行う施設なのか
  • どのようなやりがいがあるのか
  • マイナスに感じる面はあるのか

また介護医療院で働くのに向いているタイプの人もご紹介します。介護以外の知識を得ることにも興味のある方、どのような施設で働こうか迷っている方、ぜひ参考にしてください。

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介護医療院の特徴

介護医療院は2018年4月に創設された医療に特化した公的介護施設です。2024年3月で廃止される介護療養型医療施設の受け皿としての役割が期待されています。

介護医療院の入居者は医療的ケアの必要が高い、65才以上の要介護度1〜5の方と特定疾病により要介護認定を受けている40〜64才の方です。

医師や看護師、薬剤師、リハビリ専門職などが常駐し医学管理を行います。

また介護医療院にはⅠ型とⅡ型の2種類ありⅠ型は重篤な身体疾患のある方、Ⅱ型は比較的容態の安定している方が利用対象です。

介護医療院の特徴は以下の通りです。

  • 長期療養のための医療ケア
  • 看取りとターミナルケア
  • 生活の場を提供する

順番に解説しましょう。

長期療養のための医療ケア

介護医療院は日常生活を支援するための介護に加え、長期療養のための医療ケアをうけられる施設です。介護医療院は日常的な医学管理を必要とする人のための介護施設だからです。主な医療的サービスは以下の通りです。

  • 喀痰吸引
  • 経管栄養
  • 点滴
  • 在宅酸素
  • 褥瘡のケア
  • 注射や薬の処方

医師や看護師が常駐しているため、入院するほどではないが一般的な介護施設では対応できない専門的な医療ケアを提供できます。

看取りとターミナルケア

介護医療院では看取りとターミナルケアも行っており、終の棲家としての役割もあります。特養の看取りとの大きな違いは、介護医療院の看取りは医学的観点からのケアがメインになる点です。介護施設での医療的な看取りとターミナルケアの引受先としての需要はこれから高まっていくでしょう。

生活の場を提供する

医療的ケアに特化した介護医療院の特徴は、生活の場を提供する生活施設でもある点です。日常生活の介護にプラスして生活を豊かにすることを目的にしたサービスも提供します。

以下の通りです。

  • 身体介助(食事、排泄、入浴介助など)
  • リハビリ
  • レクリエーション
  • その他日常生活支援

療養だけでなく要介護の高齢者の生活に密着した介護サービスを行うのが、病院や介護療養型医療施設とは違った介護医療院の特徴です。

介護医療院で働くメリット

介護医療院で働くやりがいやメリットはいくつかありますが、主なものは以下の3点があります。

  • 介護と医療に関する知識を得ることができる
  • 利用者としっかり向き合って介護ができる
  • 整った医療体制の中で看取りに携われる

順番に解説していきましょう。

介護と医療に関する知識を得ることができる

介護医療院では介護と医療に関する高度な知識を得ることができます。介護医療院の入居者は比較的要介護度の高い人が多いので身体介助が必要です。介護のスキルを生かしながらたくさんの経験を積めます。

また医師や看護師、リハビリ専門職など他職種と働くことでより高度な医療の知識を得られます。介護と医療の専門的な知識を得ることでスキルアップにも繋がるでしょう。

利用者としっかり向き合った介護ができる

介護医療院では利用者としっかり向き合った介護ができます。介護医療院は特養と同じ長期療養のための施設だからです。生活施設としての役割もあるため、レクリエーションなどもあり利用者とコミュニケーションをとる機会もたくさんあります。

老健のように数ヶ月で利用者が入れ替わってしまうのが寂しい人、一人一人としっかり向き合って介護したい人にはおすすめです。

整った医療体制の中で看取りに携われる

介護医療院では医師をはじめとした多くの医療スタッフが常駐しているため、安心して看取りに携われます。また病院ほどではないものの、医療設備も整っているため利用者の容態が急変した時などは安心して対応できます。

看取りケアは精神的な負担を感じてしまう面もありますが、医療体制が整っていることで少しでも安心感を持ちケアできるのは介護医療院の大きなメリットです。

 

介護医療院で働くデメリット

介護医療院はまだ創設されて間もないため、よくわからないところも多く働くことが不安だという方もいるでしょう。他施設と比べマイナスと考えられる面を2つ解説します。

看取りがあり精神的負担がある

介護医療院では終末医療としての看取りとターミナルケアを行っています。また長期療養施設であるため、長い間お世話した利用者とのお別れは辛く悲しく、精神的負担になる方もいるでしょう。悲しいお別れが続くことでモチベーションが下がってしまう可能性もあります。

利用者にとって最適な環境で医療と介護の両方からの手厚いケアを受けることできるのは、介護医療院だからこそできる看取りケアと言えるでしょう。

給与が安い可能性がある

介護医療院の給与は特養、老健に比べると安い可能性があります。

平均給与は以下のようになります。

施設平均給与(常勤)平均給与(非常勤)
特別養護老人ホーム345,590202,950
介護老人保健施設338,390289,050
介護医療院307,550215,610

 (出典:「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 厚生労働省老健局老人保健課

常勤の給与は少なめですが、非常勤の給与は特養に比べ平均して高いという結果が出ています。実際の施設ごとに差はありますが、自分の働き方を考える上で参考にしてください。

 

介護医療院で働くのに向いている人

実際どんな人が介護医療院で働くのに向いているのでしょうか。

介護職全般に言えることですが、

  • 人と関わるのが好き
  • 相手の気持ちを思いやれる
  • 視野が広い
  • 新しい知識を得ることに熱心

上記のような方は、介護の仕事をするのに向いている特性を持っています。

さらに今回はその中でも特に介護医療院で働くのに向いている人をご紹介します。

医療的ケアの知識を得たい人

介護医療院では医師や看護師、リハビリの専門職と連携し日々の介護を行うため、医療的ケアの知識を得ることができます。医療依存度の高い利用者の介護サポートを経験することで、より高度な知識と介護スキルを習得したい方、医療的ケアの知識を得てさらなるキャリアアップをしたい方に向いている環境です。

コミュニケーション能力の高い人

介護医療院では多職種と連携が求められるためコミュニケーション能力の高い人が向いています。また長期療養施設のため日々の利用者とのコミュニケーションも利用者の体調を知る上で欠かせないものです。

どのような相手であれ話すことが苦ではない人、自分から話しかけることに抵抗がない人に向いているでしょう。

まとめ

介護医療院の特徴やメリットとデメリット、また介護医療院で働くのに向いている人についても紹介しました。

介護医療院は、創設されて間もないのでよく知られていない面もありますが、医療に特化した公的施設です。長期療養施設で看取りケアまで行います。

医療やリハビリの知識や経験を得ることもでき、介護職としてステップアップを考えている人にはおすすめの施設です。

介護医療院の特徴を理解し、職場選びの参考にしてください。

 

シン

介護福祉士として特別養護老人ホームに10年勤務。介護職としてフルタイムで働きながら、介護に関する情報発信を行っている。介護現場ではひとりひとりの個性を大切にする個別ケア、利用者の1日の生活を可視化して最適なケアの検討を行う24時間シートの導入を推進。現場目線の実態に即した情報発信を得意としている。

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