仕事上りの私を缶チューハイが待っているううぅぅ!!
要支援と要介護の違いがわからないよー。なんでウチの施設は要介護の人しかいないのー?
今回は要支援と要介護の違い、つまりは介護度についてレクチャーしちゃうよー!
これから要支援と要介護、そしてふたつの根っこにあたる介護度について詳しく説明します。
ここでは少し専門的かつ法律的な内容を扱いますので、介護の仕事についての概要が知りたい方は以下の記事をご覧ください。
介護の仕事をしていると、要支援1とか、要介護3といった言葉は聞いたことがあるかもしれません。ケアプランやフェイスシートといった情報書類には必ず介護度が記載されています。
ですが、要支援や要介護の人はどんな人で、どういったサービスを受けているのか? そもそも要支援と要介護って何が違うのか? といったことはあまり知らないのではないでしょうか?
この記事は要支援と要介護の違いについて詳しく知りたい方のために書いています。
- 介護度とはいったいなんなのか?
- 要支援とはどういったものか?
- 要介護とはどういったものか?
この記事を読めば、要支援や要介護の段階に応じたサービスの違い、介護度別の利用者のだいたいの身体状態、精神状態の違いを知ることができます。
これらの知識を得ることで、新規利用者のフェイスシートや、施設で作成しているケアプランについてより深く理解することができるようになります。
フェイスシートやケアプランの理解が深まれば、目の前の利用者に対して、どのようなケアをどのように展開していけば良いのかを、感覚ではなく論理的に考えていくことができるようになるでしょう。
それでは要支援と要介護の違いについて、簡単かつ詳細に説明していきますので、どうぞ最後までお付き合いください。
介護度とは?
介護度とは介護保険制度における「その人にどれくらいの介護が必要なのか」という目安です。
そのため介護度によって介護保険を利用して受けられるサービス、またはサービスの値段が変わってきます。
介護度を決定する要因は、その人に必要な介護の時間で決まります。
介護度が高くなってくるほど介護が必要な時間が多い。つまり自分でできることが少なくなり、自立した生活が難しい状態と言えます。
介護度によって利用できる施設やサービスに偏りがあります。
例えば特別養護老人ホームは原則として要介護3以上の人を受け入れているため、介護度の高い利用者が多い傾向にあると言えます。
介護度は誰が認定するのか?
介護度の認定は市町村が行います。
介護保険のサービスの保険者(介護サービスを提供している大元)が市町村だからです。
具体的な要支援、要介護認定の手続きとサービス開始までの流れは以下のようになります。
出典:知るぽると
簡単にまとめると
- 市町村に要介護認定の申請
- 主治医に意見書をもらう
- ケアマネージャーの認定調査を受ける
- 主治医意見書と認定調査の結果から要介護認定の判定が出る
このような感じになります。
重要なのは、いくら本人や家族が「身体が動かない」「認知症が進んでる」と言っても、医師の意見、ケアマネージャーの調査、市町村の判断、この3つがそろわないと要支援、要介護認定は下りないという事です。
要支援や要介護の認定が下りなければ介護保険のサービスは受けられません。
介護職員の業務には関係の薄い内容となりますが、介護サービスを使用している利用者全員がこの流れを経て来ている、という事は頭に入れておいてもいいかもしれません。
主治医意見書と認定調査。この二つが要介護認定のキーワードだね。あと、特養の利用者の中には、他県から来る人もいるから覚えておいてねー。たまにすごい方言の人もいるよ!
要支援と要介護
要支援と要介護の違いは、介護予防を必要とする状態か、実際の介護が必要な状態か、という点です。
介護保険は介護度を要支援と要介護に区分けし、さらに段階を細かく分けることで、必要な支援を必要な人に届けるような仕組みになっています。
要支援と要介護では身体機能や認知機能の状態が変わってくるため、受けられるサービスや利用できる施設が大きく異なります。
ここからは要支援と要介護の段階と、それぞれの段階で受けられるサービスの違いについてお話します。
要支援とは?
要支援の状態とはほとんどひとりで日常生活を送れるが、介護が必要な状態にならないように、身体の機能を維持したり改善したりする支援が必要な状態を指します。
要支援認定の人が受けられるサービスは、基本的に在宅で生活を継続していくためのものになります。
具体的な要支援の状態は以下のようになります。
- 要介護状態への進行を予防するために何らかの支援を要する状態。
- ほとんど自分で日常の基本動作(食事、着替え、移動、排せつ、入浴など)を行うことができる。
- 日常の複雑な動作(家事全般、交通機関の利用、服薬・金銭管理など)には支援が必要。
要支援の段階
要支援は要支援1~2の段階に分かれます。
要支援1と2どちらも先ほど挙げた要支援の状態の具体例に当てはまります。その中でも要支援2のほうが少しできないことが多いという段階です。
要支援1の人と比べると要支援2の人にはこんな傾向があります。
- 日常生活における基本動作が低下している。
- 病気や怪我の影響から心身の状態が安定していない。
- 支援を要する時間が長くなる。
- 支援する内容が多い。
また、認知症の有無や認知症の症状が安定しているかどうかによっても介護度は変わってきます。
要支援1よりも2の人のほうが認知症にかかっている人は多いですし、認知症にかかりやすい状態と言えます。ある程度基本動作ができていても認知症が進行していれば、要支援ではなく要介護となる可能性も高いです。
えっと、要支援2のほうが要介護状態になりやすいってことかなー?
でも、日によって状態が変わったりするから、正確に状態を判断して認定するのって難しいんだよね。例えばお医者さんやケアマネさんの前だと急にしっかりしちゃう高齢者もいるし。
要支援で受けられるサービス
要支援の人が受けられるサービスは、主に要介護状態への進行を予防するための「介護予防サービス」となります。
介護予防サービスは4種類あります。
- 訪問サービス
- 通所サービス
- 短期滞在サービス
- 居住サービス
サービス内容の例
訪問サービス
予防訪問介護、介護予防訪問入浴介護、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション、介護予防居宅療養管理指導
通所サービス
介護予防通所介護(デイサービス)、介護予防通所リハビリテーション
短期滞在サービス
介護予防短期入所生活介護、介護予防短期入所療養介護
居住サービス
介護予防特定施設入居者生活介護
要介護とは?
要介護とは身体状態や精神状態、認知機能の低下により、日常生活を一人で送ることが困難であり、介護を必要とする状態を指します。
要介護認定の人が受けられるサービスは要支援の内容に加え、日常生活をサポートするようなものになります。
要介護状態は要支援とは違い、段階に応じて受けられるサービスがわかれているのが特徴です。また本人の状態も段階に応じて大きく変わります。
介護度の段階による一番大きな違いは、要介護3以降は特別養護老人ホームへの入居が可能になることです。
段階に応じた状態についてはこれから解説していきます。
要介護の段階
要介護の段階は要介護1から要介護5までの5段階に分かれます。
各段階ごとに要介護者の状態やサービスを受ける際の料金が変化します。
身体の状態が良い人であっても、認知症が進行している人であれば要介護が重くなる傾向がありますし、認知症がない人であっても、身体状況に応じては要介護が重くなる傾向があります。
特別養護老人ホームは安価で入居できる施設ですので、利用者からは人気の高い施設です。
要介護1
要介護1は要支援2と基本的には同程度の状態です。
状態が不安定であったり、認知機能の低下が強く見られている場合は要支援2ではなく要介護1と認定されます。
要支援と同程度の状態であるため、身の回りのことはある程度自分でできる傾向にあります。
具体的な状態としては以下のようになります。
- 掃除洗濯といった家事や身の回りのことに見守りや手助けを必要とする場合がある。
- 立ち上がり、階段の上り下り等の複雑な動作を行う際に何らかの支えや手助けを必要とする場合がある。
- 自分で歩けるものの、立っている時や歩く際に支えが必要な場合がある。
- トイレに行く、食事をするといった基本的な生活行動は概ね自分でできる。
- 認知症の周辺症状による問題行動が見られる場合がある。
要介護2
要介護2は日常生活全般に軽度な介助が必要な状態です。
要介護1と比べるとトイレや食事といった基本的な生活行動にも何らかの手助けが必要な場合があります。
具体的な状態としては以下のようになります。
- 家事や身の回りのことに見守りや何らかの手助けを必要とする場合が多い。
- 立ち上がり、階段の上り下り等の複雑な動作を行う際に何らかの支えや手助けを必要とする。
- 自分で歩ける場合が多いが、立っている時や歩く際に何らかの支えが必要な場合が多い。
- トイレに行く、食事をするといった基本的な生活行動に手助けが必要な場合がある。
- 認知症の周辺症状による問題行動が見られる場合がある。
要介護3
要介護3は日常生活全般に中程度の介助が必要な状態です。
要介護2でも行えていたような基本的な日常生活動作が、さらにできなくなってしまった状態になります。
具体的な状態としては以下のようになります。
- 家事や身の回りのことに見守りや何らかの手助けが必要。
- 立ち上がり、階段の上り下り等の複雑な動作がひとりでは出来ないので手助けが必要。
- 歩行がひとりでは出来ないことがあるので手助けが必要。
- トイレや食事に手助けが必要。
- 認知症による問題行動が複数見られる場合がある。
要介護4
要介護4は日常生活がほとんどひとりでは成り立たない状態です。
要介護3では手助けがあればできることも多い状態でしたが、手助けがあっても日常生活の動作が難しい難しい場合が増えてきます。
具体的な状態としては以下のようになります。
- 家事や身の回りのことが自分ではほとんどできない。
- 立ち上がりや階段の上り下り等の複雑な動作が自分ではほとんどできない。
- 歩行が自分ではほとんどできない。
- トイレや食事が自分ではほとんどできない。
- 認知症の進行が進み、理解力の低下や問題行動が見られる場合が多い。
要介護5
要介護5は日常生活がひとりでは全く成り立たない状態です。
介護がなければほとんどのことができないため、最重度の介護が必要になります。寝たきりの状態であることが多いです。
具体的な状態としては以下のようになります。
- 家事や身の回りのことが自分ではほとんどできない。
- 立ち上がりや階段の上り下り等の複雑な動作が自分ではほとんどできない。
- 歩行や車いすでの移動が自分ではほとんどできない。
- トイレや食事が自分ではほとんどできない。
- 認知症の進行により理解力の低下が顕著であり、複数の問題行動が見られる場合が多い。
要介護で受けられるサービス
要介護状態の人が受けられるサービスは「介護サービス」となります。
サービスの内容は異なりますが、基本的な枠組みは「介護予防サービス」とは変わりません。
介護サービスは4つあります。
- 訪問サービス
- 通所サービス
- 短期滞在サービス
- 居住サービス
サービスの1例を挙げていきます。
訪問サービス
訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導
通所サービス
通所サービス(デイサービス)、通所リハビリテーション
短期滞在サービス
短期入所生活介護、短期入所療養介護
居住・入居サービス
特別養護老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設
まとめ
- 介護度は「その人にどれくらいの介護が必要なのか」という目安。
- 要支援と要介護の違いは「介護予防を必要とする状態か」それとも「実際の介護が必要な状態か」の違い。
- 要支援はほとんどひとりで日常生活を送れるが、身体の機能を維持したり改善したりする支援が必要な状態。
- 要介護は日常生活を一人で送ることが困難であり、日常生活を送るために介護を必要としている状態。
いかがだったでしょうか?
少し専門的な内容になりましたが、要支援と要介護の違いについてご理解いただけたでしょうか?
今回は現場の介護職員の目線から介護度について解説しました。
ケアマネやソーシャルワーカーなどの専門職からすれば浅い内容かもしれませんが、一般的な介護度への理解としてはやや深めに斬りこんだつもりです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
かかりちょーは無事に退勤して、帰り道で買った酒をかっくらっている最中です。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
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