認知症の方の正しい対応方法とは?信頼関係を築くコツと介護の心構えを紹介

「認知症の方も自分らしく一日を豊かに過ごしてほしい…」そう願うものの、認知症の症状は個人差があり、どう対応すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。

一人ひとりの気持ちに寄り添い、正しい対応方法を理解することで、お互いにとってこれからの人生が実りのあるものになることでしょう。今回は、認知症の方と信頼関係を築くための対応方法や、介護の心構えを紹介しますので、参考になれば幸いです。

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認知症の方と信頼関係を築く介護の重要性

認知症の方の心を開き、信頼関係を築くことは介護の現場で非常に大切なポイントです。なぜなら信頼関係が深い職員がたくさんいる環境は、心理状態が安定し、居心地の良いすばらしい生活を送れるからです。

例えば、いつも近くにいてくれる人が、自分の話に耳を傾け興味深く聞いてくれたり、意思を尊重してくれると「この人に任せたら安心だ」と気持ちに余裕が生まれます。

では、実際にどのような対応をすればよいのでしょうか。認知症の方と信頼関係を築くポイントを詳しくみていきましょう。

信頼関係を築く具体的な方法

お互いを認識する

認知症の方と信頼関係を築くための第1ステップは、相手に自分を認識してもらうことです。

「おはようございます」気持ちのよい挨拶を欠かさずしましょう

「この人しってる」「毎日話しかけてくれる人だ」と覚えてもらうことが必要です。

「3つのない」を心がける

(出典:社会福祉法人、恩賜財団済生会)

  • 驚かせない
  • 急がせない
  • 自尊心を傷つけない

認知症の方との信頼関係を得るために大切なことは、気持ちや考えを理解することです。

「今日は何をしたいか、何をしたくないのか」その日、その時の”声”に耳を傾け、本人が今できることをさりげなくお手伝いしましょう。

驚かせない

認知症の方は、予期せぬ事態でびっくりしたり、周りが大きな声で騒がしくしたりしていると、なぜびっくりしてドキドキしたのか、なぜ大きな声がするのか不安になります。その理由がわからず、その原因が自分にあるのではないかとパニックになるのです。静かな環境づくりが重要です。

急がせない

介護のタイムスケジュールにとらわれて無理に押し付ける行為はNGです。行動を最後までやり遂げる様子を見届けます。

また、できるだけゆっくりと滑舌よく話しましょう。本人の言ったことを復唱し、このまま話を続けていいのか反応をみながら、話すスピードを調整しましょう。話そうとしていることに口を挟んだり、行動や動作を阻止することのないよう注意が必要です。

自尊心を傷つけない

認知症が進行すると思考力や動作が遅くなるため、以前の様に一度にできる量が減ってしまいます。その状態の中で「昔のようにできない」と焦り、強い不安や恐怖を感じるのです。

できないことを人に見られたり、注意されると自尊心がとても傷つき、塞ぎ込む原因に繋がることもあります。「できないこと」をそのままにせず、違うやり方を提案してみましょう。

具体的な対応の5つのポイント

認知症の方の気持ちを理解し、適切な対応をするためには、具体的にどういったことがあるのでしょうか。心がける5つのポイントを解説していきたいと思います。

  1. 無理強いはせず、一旦距離を置く
  2. 声がけのタイミングを工夫する
  3. 親しき中にも礼儀あり
  4. 喜怒哀楽の感情を大切にする
  5. 落ち着いて過ごせたり、集中できることを探る

どんな時も認知症の方の思いに寄り添った対応を心がけることが重要です。喜怒哀楽をキャッチし、どんなことが好きなのか嫌いなのか、注意深く観察することで、その方の寄り添い方が見えてきます。

言葉遣いも相手を敬う気持ちを忘れてはいけません。フレンドリーで話しかけやすい雰囲気も大切ですが、言葉遣い一つで誤解を生む原因に発展する可能性があります。慣れ合いでマナーをないがしろにしないよう気をつける必要があります。

また、体勢を崩してしまいそうな時のサポートは必要ですが、危険ではない限りは見守り、自尊心を尊重しましょう。

背景から尊厳を守る

認知症の方の中には、それまで当たり前にしてきた日常生活ができなくなり、大きな不安やストレスを感じている方が少なくありません。

その方の歴史を教えてもらい、それまで歩んできた生活習慣、性格や趣味、嗜好などを把握する姿勢が重要です。「〇〇さんらしさとは何だろう?」と掘り下げて考える事で、行動の意味を理解し、認知症の方の尊厳を守ることが大切です。

 

今すぐ活用できる介護の心構え

認知症の方と関わりをもつ中で、常に覚えておきたい心構えとは、いったいどんなことが挙げられるのでしょうか。3つのヒントをご紹介します。

認知症について学び続ける

認知症の方の心理や行動に興味を持ち、学び続ける姿勢は大切です。基本的な情報はもちろん、認知症の研究されている方の研究結果や発信にアンテナを張り、知識を得る習慣を持ちましょう。

困った時は周囲に頼る

介護の現場では利用者の容態の変化を見逃してはいけません。判断に迷ったら一人で悩まず、すぐに状況の報告や質問することが重要です。

職員同士の円滑な連携やコミュニケーションは、全体の和やかな雰囲気にもつながります。

やりがいをもつ

介護の仕事は心身とともに大変なことも多いですが、感謝の気持ちをかけてもらう機会が多い職業です。「人との繋がり」を実感できるので、やりがいやモチベーションにもつながります。

「あなたでよかった」「いつもありがとう」と声をかけていただくと、努力が報われる思いがしますね。

 

まとめ

認知症の方の対応方法として非常に重要なことの一つは信頼関係を築くことです。その方のこれまでの生活習慣や気持ち、考え方を理解すること。

「何をしたいか、何をしたくないのか」その日、その時の”声”に耳を傾け、本人が今できることをさりげなくお手伝いしましょう。また、知症の知識を学ぶことで、症状の悪化を防いだり、お手伝いのヒントが身につきます。

だれでも自分や家族が認知症になる可能性があります。認知症になっても安心して笑って暮らせる社会づくりの一員として、信頼につながる対応を心がけましょう。

シン

介護福祉士として特別養護老人ホームに10年勤務。介護職としてフルタイムで働きながら、介護に関する情報発信を行っている。介護現場ではひとりひとりの個性を大切にする個別ケア、利用者の1日の生活を可視化して最適なケアの検討を行う24時間シートの導入を推進。現場目線の実態に即した情報発信を得意としている。

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