介護現場でよく使われる「介護」と「看護」という言葉は皆さんご存じだと思います。
でも、「介護」と「看護」の違いって何?という質問に的確に答えることができる人はどれくらい居るでしょうか?実は知っているようで、上手く説明できない方が多いのではないでしょうか。
今回は、これから介護職に就く方のために「看護と介護の違い」について分かりやすく解説していきたいと思います。自分の目指すべき職種の参考になれば幸いです。
介護・看護の役割や目的について
介護と看護の仕事は利用者様のケアを行うのが主な役割です。しかし、それぞれの役割や目的には違いがあります。介護士と看護師の違いについて解説するので参考にしてみて下さい。
介護士の仕事は利用者様の自立サポート
介護とは日常生活を行うのに支障のある方に対して、自立支援を行うことです。必要に応じて、生活の相談、助言、指導や介護サービスの提供を行います。
具体的な介護サービスは身体介助と生活援助のふたつです。身体介助は体に直接触れて介護を行う行為、排泄、入浴、食事といった支援を指します。生活援助は調理や掃除といった体に直接触れない支援を指します。
介護士は自立支援の観点から、身体的な支援、心理的、社会的支援も行うのが一般的です。
看護師の仕事は利用者様の健康維持や医療的管理
看護とは医療的な診療の補助を行うことです。必要に応じて怪我や病気、妊産婦の療養上の世話を行います。
日本看護協会が訳した「看護の定義」は以下のようになっています。
傷病者や妊産婦の療養上の世話をしたり、診療の補助を行うこと。“人を看る”という看護師独自の視点で、対象となる人を身体や精神、社会、文化などさまざまな側面から捉え、情報を総合的にアセスメントし、必要な看護を的確に判断します。
(出典:日本看護協会 https://www.nurse.or.jp/)
利用者様の誰もが健全に生活が出来るように医療的な診療の補助をしたり、心のケアをしたりすることが「看護」であるといえます。
介護・看護の仕事内容の違い
介護と看護では仕事の目的や役割が違うため、業務内容も違いがあります。それぞれの職種の仕事内容の違いを紹介していきます。
介護士の仕事内容
介護士は日常生活のケアがメインの仕事です。介護士は資格が無くても介護現場で働けますが、現場での医療的行為は認められていないからです。
介護士の主な仕事内容は以下の5点です。
- 食事介助
- 入浴清拭介助
- 移乗・移動介助
- 清拭・更衣・口腔ケア
- レクリエーション
介護士は「身体介護」「生活援助」が主であり、一般的には介護士は医療的ケアを行うことができない点が大きな違いとなります。
看護師の仕事内容
看護師は医療的な処置がメインの仕事内容です。国家資格を取得することで介護現場での医療的処置が認められるからです。
看護師の主な仕事内容は以下の6点です。
- 薬剤投与
- 褥瘡や創部の処置
- 痰の吸引
- 経管栄養
- 酸素投与・人工呼吸器管理
- 導尿・排尿ケア
看護師は上記の仕事内容に加えて、現場では介護士と同じように「身体介護」や「生活援助」を行うこともあります。
介護士は「介護的側面からのケア」を担い、看護師は「医療的側面からのケア」により利用者様の生活の質を高めていくために支援していくという違いがあります。
介護・看護の資格の違い
介護士と看護師はそれぞれに必要な資格が違います。
介護士は無資格からでも現場で働くことができますが、看護師として働くためには国家資格を取得する必要があります。
介護士は介護福祉士の資格が取得可能
介護士は無資格でも現場で働くことができる面はメリットといえるでしょう。
現場で働く中で更なるキャリアアップとして、介護士は介護福祉士の国家資格を取得することができます。介護の現場で3年(実働日数は540日)以上の実務経験を重ねて、以下の条件からどれか一つを満たすと受験資格を得ることができます。「実務者研修」または「介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修」のいずれか1つを修了または履修する必要があります。
(出典:社会福祉振興・試験センター https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/route.html)
介護福祉士は介護現場の中でも需要が高く、介護士のキャリアアップのために重要な資格の一つといえます。
看護師は国家資格の取得が必要
看護師になるには、大学または3年以上の教育を受けて、看護師国家試験に合格する必要があります。
日本看護協会のホームページには、以下のように看護師になるための進路コースが分かりやすく図で記載されています。
(出典:日本看護協会 https://www.nurse.or.jp/)
看護師として現場で働くためには、必ず看護師国家資格が必要ということが介護士と決定的に違う点だといえます。
介護・看護の給料の違い
介護と看護では、仕事内容や資格の種類に加えて給料面でも違いがあります。
よりリアルなデータで比べるために、厚生労働省が発表した「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」を元に解説していきます。
職種 | 平均給料 |
介護職員 | 18万7180円 |
看護職員 | 23万6640円 |
(出典:「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」P144〜)
介護士よりも看護師の平均給料は高いのが特徴です。
医療行為による責任の重さや、資格の取得難易度が主な要因となります。介護士は医療的な責任はあまりありませんが、収入面には劣るのが特徴です。収入を大きく増やしたい方は介護士から看護師を目指すことも視野に入れると良いでしょう。
まとめ
高齢者や日常生活を送るのに支障がある方に対して、介護は自立に向けたサポートを行い、看護は医療的管理を行うことで、利用者様の生活の質の向上を目指します。それぞれの役割の違いを理解することで、適切なケアを行うことができます。
「介護」と「看護」の違いについて、以下の3つにわけて解説してきました。
- 介護と看護の仕事内容の違い
- 介護と看護の資格の違い
- 介護と看護の給料の違い
介護現場で働く職種の違いを理解したうえで、今後のキャリアアップや自分の目指すべき職種を選んでいきましょう。
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