介護施設で利用者が亡くなった時の対応は?施設スタッフの役割や片付けの注意点について

 

近年では高齢化が進むにつれ、介護施設で最期を迎える方も増えています。

新人介護職員の方は施設で利用者が亡くなった時の対応を経験したことが無い方も多いのではないでしょうか?

介護施設で利用者が亡くなった時には、施設スタッフが行うべき役割があり、その際の注意点も知っておく必要があります。

これからますます増える事が予想される看取り看護への知識を深めることで、利用者とご家族の大切な時間を支援することが介護スタッフの役目ともいえるでしょう。

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今回は、介護施設で利用者が亡くなった時の葬儀までの流れと施設スタッフの役割、また片付けの際の注意点について説明していきます。

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介護施設で利用者が亡くなった時の葬儀までの流れと施設スタッフの役割

ここでは、介護施設で亡くなった場合のご臨終から葬儀までの流れと各々の場面での施設スタッフの役割を紹介します。

1)危篤やご臨終の連絡を家族へ行う

看護師より利用者が危篤状態もしくはご臨終となったことを家族へ連絡します。

看護師であれば介護士よりも医療的な面で詳細な説明ができるからです。

とくに危篤状態になった経緯や病態についての専門的な説明などは、医療職である看護師から説明する方が家族としても受け入れやすいでしょう。

施設によってはとくに決まりがない場合もありますが、介護施設では看護師から家族への連絡を行うことが多いです。

2)ご臨終・死亡宣告

医師が臨終を確認し、死亡宣告を行います。

死亡宣告を行うためには以下のような医学的観点からの判断を必要とするからです。

  • 心拍拍動および呼吸の停止の確認

胸部の聴診を行い、心音停止・呼吸音停止を確認します。橈骨動脈・頸動脈の触診を行い、心電図モニターにて脈拍がゼロになっていることを確認します

  • 脳機能の停止の確認

ペンライトの光を瞳孔にあてても、瞳孔が広がったままであり、対光反射(光の強さによって瞳孔の直径を変化させる反射機能)が起こらないことを確認します

  • 死亡時刻の確認

​​時計を見て、死亡時刻を確認します

  • 家族に死亡宣告を確認する

医師から家族に対して死亡宣告を行います

死亡宣告は医学的観点からの判断が必要であるため、病院と同じように介護施設でも医師が行います。

3)エンゼルケア(死亡直後に行う処置)

医師からの死亡宣告後に施設スタッフにてエンゼルケアを行います。

エンゼルケアは故人の感染症を予防し、身体をきれいに整え、家族の心のケアを行うために行います。家族の希望がある場合は、一緒にエンゼルケアを行うこともあります。

エンゼルケアで行うことは以下の通りです。

  • 口腔清拭
  • 開いている口、開いているまぶたへの対応
  • 全身清拭・着衣
  • 爪切り・手浴・足浴・靴下・ネクタイ・マニキュア
  • 顔のメイク(血色を補う事を目的に行います)
  • 点滴や医療器具の取り外し

病気で亡くなった方の中には、点滴やさまざまな医療器具を身に着けていることもあります。医療器具を取り外してご遺体をきれいに整えることもエンゼルケアです。医療器具の取り外しには専門的な知識が必要となるため、医師や看護師に依頼しましょう。

それ以外のエンゼルケアは特別な資格を必要としないため、家族から希望がある時は施設スタッフと一緒に家族もエンゼルケアを行い、家族の心のケアを行いましょう。

4)死亡診断書を受け取る

医師が作成した死亡診断書を家族が受け取ります。

5)葬儀会社により施設からご遺体の搬送・安置

ご遺体は施設からすみやかに搬送されます。

利用者のご家族が葬儀会社へ連絡し、葬儀会社スタッフがご遺体を安置先へ搬送します。

6)葬儀

介護施設からの搬送後は、葬儀会社スタッフの対応となります。

 

介護施設で利用者が亡くなった後の片付けの注意点

介護施設で利用者が亡くなった後の片付けの注意点はふたつあります。

  • 他の利用者への配慮を忘れない
  • 衛生管理に気をつける

それぞれ順番に解説します。

他の利用者への配慮を忘れない

介護スタッフは他の利用者への配慮も欠かさず行いましょう。

施設の中で利用者が亡くなると、介護スタッフが普段と比べて慌ただしく動いたり、普段は出入りのない業者が出入りしたりと、施設の中がいつもと違う雰囲気となります。

他の利用者にとっては、心身へ影響も大きいものです。

亡くなった利用者の身の回りの物の片付けは、他の利用者が見えない場所で行ったり、パーテンションを使うなどの環境調節をしながら作業を行いましょう。

施設スタッフは利用者を一番に考えた行動を心掛けます。

衛生管理に気をつける

家族や葬儀会社のスタッフが出入りする際はとくに衛生管理に気をつける必要があります。

外部から細菌が持ち込まれることで、感染症リスクが高まるからです。

介護施設は抵抗力が落ちている高齢の利用者が多く入居しています。外部から細菌や感染症が持ち込まれればあっという間に広がってしまうでしょう。普段と違う出入りがあった際は消毒や移動エリアの限定など感染症対策が肝心です。

ご遺体を搬送する際は忙しくてバタバタしがちですが、衛生管理を徹底して施設の安全を守りましょう。

まとめ

これからも高齢化が進むにつれて、介護施設での看取り看護が増えることが予想されます。

介護施設で働くスタッフは、葬儀までの流れを理解し、その場に応じた対応を取れるように事前に準備をしておくことで、適切なケアを行うことができます。

介護施設で利用者が亡くなった際はご遺体に気が取られがちですが、衛生管理や利用者への配慮も肝心です。

介護施設で最後を迎える方にとってより良い最後を迎えられるように、利用者とご家族の大切な時間を支援していきましょう。

シン

介護福祉士として特別養護老人ホームに10年勤務。介護職としてフルタイムで働きながら、介護に関する情報発信を行っている。介護現場ではひとりひとりの個性を大切にする個別ケア、利用者の1日の生活を可視化して最適なケアの検討を行う24時間シートの導入を推進。現場目線の実態に即した情報発信を得意としている。

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